半波整流

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用語整理

1. 半波整流回路(以下、参考文献1より)

読み方:はんぱせいりゅうかいろ 【英】Half-Wave Rectifier Circuit

半波整流回路とは、電流をある正・負どちらかの方向にのみ流れるようにする回路(整流回路)のうち、交流電流において正・負の両方の方向に流れている電流のどちらか一方だけを流すことによって整流を行う回路のことである。

半波整流回路は、主にダイオードなどを利用して実現される。ダイオードは整流素子と呼ばれる素子の一つで、電流をアノードからカソードへの方向にしか流さない性質を持っている。そのため、回路中にダイオードを一つ挟むことによって、電流を常に単一の方向にしか流れないようにすることができる。

半波整流回路は、整流素子一個だけで手軽に整流回路が構成できるという利点がある。その反面、電流サイクルの半分を遮断して整流している仕組み上、変換効率が悪いなどの困難がある。このため、半波整流回路はもっぱら簡易的な、負荷や容量の小さい整流器に使用されている。

単純に半波整流回路で整流しただけの電流は、交流電流の波形を残した脈流と呼ばれる状態となっている。このとき、平滑回路やチョークコイルなどを使用することにより、脈流をより直流電流に近づけることができる。

なお、半波整流回路に対して、交流の正・負の両方の電流を同一方向へ流れるようにする(整流する)ことによって電流を変換する回路が、全波整流回路と呼ばれている。全波整流回路の構造は、電気製品のACアダプタなどで一般的に利用されている。

つまり?

ダイオードを用いて、マイナス電圧をクランプ(clamp:制限)した回路のこと。例えば、電池を逆につないでも壊れない、みたいな使い方ができる。実際、一度逆電圧をかけるだけで壊れてしまう電子部品なんてたくさんあります。

2. ダイオード

ダイオードは、n型半導体とp型半導体でできている。ダイオードには、逆電流を流さないという特性を持っているが、一定以上の逆電圧をかければ電流は流れ始める。

n型半導体

wikiより
n型半導体(エヌがたはんどうたい)とは、電荷を運ぶキャリアとして自由電子が使われる半導体である。負の電荷を持つ自由電子がキャリアとして移動することで電流が生じる。つまり、多数キャリアが電子となる半導体である。 例えば、シリコンなど4価元素の真性半導体に、微量の5価元素(リン、ヒ素など)を不純物として添加することでつくられる。不純物半導体に含まれる。

  • N型半導体をつくる為の不純物をドナーといい、この不純物より形成された準位をドナー準位と呼ぶ。
  • 負の電荷を持つ自由電子が多数キャリアであることから、英語の頭文字をとってn型半導体と呼ばれる。
  • 工学ではn形半導体と表記される(日本工業規格(JIS)など)。

p型半導体

wikiより
p型半導体(ピーがたはんどうたい)とは、電荷を運ぶキャリアとして正孔(ホール)が使われる半導体である。正の電荷を持つ正孔が移動することで電流が生じる。つまり、正孔が多数キャリアとなる半導体である。 例えばシリコンなど4価元素の真性半導体に、微量の3価元素(ホウ素、アルミニウムなど)を添加することでつくられる。不純物半導体に含まれる。

  • p型半導体をつくる為の添加物をアクセプタといい、この添加物によって形成された準位をアクセプタ準位と呼ぶ。
  • 正(英: positive)の電荷を持つ正孔が多数キャリアであることから、英語の頭文字をとってp型半導体と呼ばれる。
  • 工学ではp形半導体と表記される(日本工業規格(JIS)など)。

3. マイナス電圧

電圧とは、相対的なものであるので、必ずしもearthが0Vということではない。実際、交流は正の電圧と府の電圧が交互(alternative)に入れ替わるので、ACと呼称される。つまり、どこを基準(GND)とするかで、電圧というものは変わってくる。だけど殆どは地球(earth,ground)を基準電圧とすることが多い。

こうして考えると、電気製品は静電気とかめっちゃ怖かったんだろうな。今はそんなに聞かないけど。

4. 発信器

発信器は、矩形波や正弦波のような電圧の波を発生させるのに使用されます。

動作原理は、LC共振回路(コイルとコンデンサ)、またはRC回路(抵抗とコンデンサ)の回路を用いて発生させるようです。人間の叡智ですね。

擬似的な交流電流を作って、電気回路の実験をするときは、低周波発信器を使ったことがあるかもしれませんね。

5. オシロスコープ

さて、ここは少し重要なことですが、オシロスコープの内部構成によって、以下の動作がされます。

  • DCで接続した場合 低周波の交流電圧、または直流の電圧を測定するのに用いられます。つまり、直流成分も交流成分も表示します。基本的にはこのDCモードで測定をおこないます。もしも発振周波数が高すぎると、過渡減少が発生して正常な測定ができなくなります。

  • ACで接続した場合 入力に直列にDCカット用のブロッキングコンデンサが入れられるようです。つまり、DC成分が観測されませんが、高周波の交流回路でも安定して計測できます。

考察的な何か

ダイオードで交流電圧を半波整流にしても負電圧を通す理由

詳しくは参考文献4を参照して下さい。
つまり、少数キャリア蓄積効果というものが関係しているらしいです。

順方向電圧をいきなり0Vにすれば、理想的なダイオードでは、確かに0Vになります。しかし、現実では一旦逆方向電流が流れ、次第にだらだらと0Vに近似していくような経過をたどります。したがって、今考えている状況では逆方向電圧が僅かながらにかかっているわけですから、写真のような挙動をします。

オシロスコープの負電圧を通した部分の波形が右側にずれてしまっている件

これは前述した少数キャリア蓄積効果が少しかぶっていますが、回路的に逆電圧をかけて、おそらく半導体に電荷が微量溜まっていて、コンデンサ的な働きをしているのではないか、と考えられます。したがって負電荷から正電荷に変わる際には値が急激に上がっており、逆に正電荷から負電荷になる際には電荷が流れなくなった結果、傾きが緩やかになっていると考えます。

参考文献

  1. IT用語辞典バイナリ
  2. 半波整流波形の実効値、平均値、最大値、波形率、波高率の計算方法
  3. 初歩の測定器活用、入門シリーズ第4回目 オーディオ発振器
  4. ダイオードの特性
  5. ダイオードの逆回復時間とステップリカバリダイオード
Oct 20th, 2015